民泊物件の投げ売りが増加している背景

近年、民泊物件の売却が増え、その価格が大きく下がるケースが目立っています。その理由について、いくつかの角度から解説します。
インバウンド需要の変動が投げ売りに影響
民泊物件の価格が下がる主な要因の一つに、インバウンド需要の変動が挙げられます。とくに海外からの観光客が増えた時期は民泊が投資対象として注目されましたが、渡航制限や観光需要の急減によって稼働率が大きく落ち込んだ物件も少なくありません。
このような需要の急減によって、民泊オーナーは収益性の低下に直面し、運営を続けることが困難な状況に追い込まれる場合が増えています。結果として、早期売却や価格を大幅に下げてでも手放したいという選択をするケースが増加しています。
法規制強化による収益性の低下
民泊に関する法規制が強化されたことで、物件の運営が以前よりも難しくなっています。たとえば、営業日数の上限や、近隣住民への説明義務など、さまざまな条件が厳しくなりました。
こうした規制が影響し、思うように運営できない民泊オーナーが増えました。運営コストが上昇し、収益性が下がったことで、これまで維持できていた物件も手放さざるを得ない状況が見られます。法規制のハードルが高くなったことは、投げ売りの増加と密接に関係しています。
競争激化と運営コスト増加の現状
民泊市場には多くの新規参入者が現れ、競争が激しくなっています。類似した物件が増えたことで、価格競争が生まれ、需要を奪い合う状況になりました。
また、清掃代や管理費、人件費などの運営コストも上昇しています。稼働率が下がると、固定コストの負担が重くなり、収益を圧迫します。こうした環境下で赤字経営となった場合、物件を低価格で手放す流れが加速しています。
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投げ売りされる民泊物件の特徴と価格帯

投げ売りされている民泊物件には、いくつか共通した特徴や価格帯の傾向があります。エリアや物件タイプごとに詳しく見ていきます。
都市部と地方エリアによる相場の違い
民泊物件の価格は、都市部か地方かによって大きく異なります。都市部ではアクセスや需要の高い立地が多いため、相場としては高めですが、それでも投げ売り価格は通常の売却相場より明らかに低くなっています。
一方、地方エリアでは、そもそも需要が少ないため、投げ売りになるとさらに価格が下がりやすいです。具体的には、都市部のワンルームタイプであれば1,000万円前後、地方では500万円を切るケースも珍しくありません。土地や建物の評価だけでなく、今後の運営リスクも価格に反映されやすくなっています。
物件タイプ別に見る価格帯の傾向
民泊物件にはマンション一室、戸建て、アパートなど、さまざまなタイプがあります。マンション一室タイプでは、投げ売りの場合700万円台から見られるようになっています。
戸建てや一棟アパートタイプになると、投げ売りでも1,000万円~2,000万円台で取引される例が多いです。設備やリフォーム状況によってはさらに幅があります。物件タイプごとの価格の目安を以下にまとめます。
物件タイプ | 投げ売り価格帯 | 備考 |
---|---|---|
マンション一室 | 700万~1,200万円 | 都市部中心 |
戸建て | 800万~2,000万円 | 地方は安め |
アパート一棟 | 1,200万~3,000万円 | 複数戸あり |
投げ売り物件の設備や立地に見られる特徴
投げ売りされる民泊物件には、設備や立地にも特徴があります。たとえば、築年数が古く、修繕が必要なケースや、水回りのリフォームがされていない物件が多いことが挙げられます。
また、駅から遠い、観光地から離れているなど、アクセス面で不利な立地が目立ちます。さらに、既存の家具や家電がそのまま残っていることもあり、設備の更新や撤去が必要になる場合もあります。こうした物件の特徴を理解して、購入を検討する際はリフォームや運営コストを十分に考慮することが重要です。
民泊物件の投げ売りを見つける方法

安価な民泊物件を見つけたい場合、情報収集の手段が多様化しています。主に活用すべき方法について説明します。
専門の不動産ポータルサイト活用術
民泊物件の売買に特化した不動産ポータルサイトは、物件情報が豊富で比較しやすいのが特徴です。物件の立地や価格、運営状況などの条件で絞り込みができ、最新の投げ売り情報もいち早くチェックできます。
たとえば、「民泊物件ドットコム」や「民泊不動産」などのサイトでは、登録無料で情報を検索でき、価格交渉や問い合わせもサイト経由で完結します。ポータルサイトを活用する際は、新着物件情報のアラート機能や、価格推移のチェックがポイントです。
民泊特化型M&A仲介会社の利用方法
最近は、民泊運営事業や物件そのものをM&Aという形で売買できる仲介会社も増えています。こうした専門会社では、民泊運営ノウハウや稼働実績など、一般の不動産取引では得られない情報を提供してくれます。
サービス内容によっては、現オーナーからの引継ぎ支援や、運営体制の整備についてもアドバイスを受けることが可能です。民泊事業ごと引き継ぎたい方や、運営に自信がない場合には、こうした特化型仲介会社の利用が有効です。
地域密着型の不動産会社を活用するコツ
エリア特性を熟知している地域密着型の不動産会社は、ネットには出回らない掘り出し物件を持っている場合があります。物件情報の鮮度や詳細についても、しっかり説明を受けやすい利点があります。
相談時には、希望エリアや予算、民泊運営の意思を明確に伝えることが重要です。良い条件の物件が出た際に優先的に紹介してもらえるよう、担当者と信頼関係を築いておくこともポイントです。
投げ売り民泊物件を購入・売却する際の注意点

安価な民泊物件は魅力的ですが、購入・売却時には押さえたい注意点が多くあります。そのポイントを具体的に紹介します。
購入時に確認すべきリスクとポイント
投げ売り物件は、その分リスクも伴います。購入の際は、まず法規制の適合状況を必ず確認しましょう。営業日数や用途地域、許可取得の可否などは、今後の運営に大きな影響を及ぼします。
また、設備や建物状態のチェックも重要です。水回りや構造の老朽化、修繕が必要な部分は、追加コストとして見積もっておくと安心です。さらに、近隣住民とのトラブルリスクや、将来的な観光需要の変動も踏まえて、慎重な判断が求められます。
売却時に意識すべき法的・契約上の注意点
民泊物件を売却する際は、法的な手続きや契約内容の確認が不可欠です。とくに民泊許可の名義変更が必要なケースや、既存の家具・家電の取り扱い条件など、細かい点まで明確にしておくことがトラブル防止につながります。
また、運営実績や収益データなどの資料を整理し、買主に分かりやすく提供することで、交渉がスムーズに進みます。売却後の責任範囲や、引き渡し時期についても明確に合意を取ることが大切です。
トラブル回避のための事前チェックリスト
民泊物件の売買においては、さまざまなトラブルが起こりやすいです。事前にチェックすべき項目を簡単なリストにまとめます。
- 法規制に適合しているか
- 建物や設備の状態に問題はないか
- 管理組合や近隣住民との調整が済んでいるか
- 収益データや運営実績の開示ができるか
このように、購入・売却どちらの場合も、事前の確認や準備を丁寧に進めることが、安心して取引を進めるための大切なポイントです。
まとめ:民泊物件投げ売りの現状と賢い活用法
民泊物件の投げ売りは増加傾向にあり、市場にはさまざまな価格帯や特徴を持つ物件が出回っています。需要の変動や法規制の強化、運営コストの上昇が背景にあるため、安易な購入・売却には注意が必要です。
情報収集をしっかり行い、専門サービスや地元の不動産会社をうまく活用することで、希望条件に合う物件を見つけやすくなります。リスクをきちんと把握しつつ、自分の目的や運営体制に合った賢い活用を心がけることが、民泊物件を有効に活かすためのポイントです。
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