賃貸のフローリング張替え費用や負担は誰がする？ポイントや費用相場を分かりやすく解説

賃貸物件のフローリング張替えに関する基礎知識

賃貸物件でフローリングの張替えを検討する際は、理由やタイミング、施工方法などの基礎知識を押さえておくことが大切です。

フローリングを張替える理由とタイミング

賃貸物件でフローリングを張替える理由はさまざまです。長年住んでいる場合には、表面に傷やへこみが目立つようになったり、日焼けや湿気による色あせなどの劣化が進んでしまうことがあります。また、ペットの引っかき傷や家具の移動による摩耗も、張替えのきっかけとして多く挙げられます。

張替えのタイミングは、入居者が退去する際や、賃貸物件のリフォーム・リノベーションとして次の入居者を迎える前が一般的です。特に、次の入居者の満足度や物件の価値維持のために、劣化が目立つ場合には早めの対応が求められます。状況によっては、部分的な修繕で済むケースもあるため、まずはフローリングの状態をしっかり確認しましょう。

張替えの必要性を判断するポイント

フローリングの張替えが必要かどうかを判断するためには、いくつかのポイントを観察することが大切です。たとえば、広範囲にわたる変色や剥がれ、歩くとギシギシと音がする場合は、下地にも影響が出ている可能性があります。こうした場合は、全面的な張替えを検討する必要があります。

一方で、表面だけに小さな傷やへこみがある場合は、部分補修やワックスがけで対応できることもあります。定期的なメンテナンスをしながら、どの程度の劣化なのか見極めることが、張替えの判断では重要です。

張替えと重ね張りの違い

フローリングのリフォームには「張替え」と「重ね張り」という2つの方法があります。張替えは、古いフローリングをすべて剥がして新しい床材に交換する方法です。これにより下地まで確認・修理できるため、耐久性の回復や見た目の一新が期待できます。

重ね張りは、既存のフローリングの上に新しい床材を重ねて施工する方法です。施工期間が短く、費用も抑えやすいのが特徴ですが、床の高さが上がるため扉の開閉や段差に注意が必要です。両者の特徴を理解し、物件や予算に合わせて選ぶことが大切です。

フローリング張替え費用の相場と内訳

フローリング張替えの費用は広さや使用する素材、施工方法によって大きく異なります。内訳や相場を知ることで、より適切な選択がしやすくなります。

一般的な費用目安と広さ別の相場

フローリングの張替え費用は、1畳あたり15,000円から30,000円程度が目安です。たとえば、6畳の部屋であれば90,000円から180,000円程度となります。ワンルームや1Kなど部屋が広くなるほど、当然費用も上がります。

参考として、下記のような相場が一般的です。

広さ	費用目安
6畳	90,000～180,000円
10畳	150,000～300,000円
20㎡	120,000～240,000円

この金額には、古い床材の撤去費用や廃材処分費が含まれることが多いですが、詳細は見積もりで確認することが大切です。

材質や工法による費用の違い

フローリングには主に「複合フローリング」と「無垢フローリング」があります。複合フローリングは、合板の上に木材を薄く貼り合わせたもので、耐久性とコストのバランスが良いのが特徴です。無垢フローリングは、天然木をそのまま使うため高級感がありますが、費用はやや高額になります。

また、張替えと重ね張りでも費用差が生じます。張替えは下地まで対応するため費用が高めですが、重ね張りは比較的安価です。具体的な金額は以下の通りです。

材質・工法	費用目安（1㎡）
複合フローリング張替え	8,000～15,000円
無垢フローリング張替え	15,000～25,000円
重ね張り	6,000～12,000円

DIYと業者依頼の費用比較

DIYでフローリングの張替えに挑戦する場合、材料費のみで済むため費用は抑えられます。たとえば、複合フローリング材であれば1㎡あたり3,000円から7,000円程度です。ただし、工具や接着材、廃材処分費なども考慮する必要があります。

一方、業者に依頼すると、材料費に加え施工費や作業時間がかかるためトータルの金額は高めになります。しかし、仕上がりの美しさや、万一のトラブル時の対応を考えると安心感があります。

比較項目	DIY	業者依頼
材料費	〇（安価）	〇（選択可）
施工費	×（不要）	〇（必要）
仕上がり	△（個人差あり）	◎（専門的）

賃貸物件での費用負担とガイドライン

賃貸物件でフローリングを張替える場合、費用負担についてのルールやガイドラインを理解することがトラブル回避につながります。

借主が費用を負担するケース

基本的に、借主（入居者）が負担するのは、自身の過失によってフローリングに損傷が生じた場合です。たとえば、大きな家具を引きずったことでできた深い傷やタバコの焦げ跡、ペットによるひっかき傷などは借主の責任範囲とされます。

また、日常的な使い方を大きく逸脱した場合も負担の対象となります。トラブルを避けるためには、退去時の立ち合いでフローリングの状態をしっかり確認し、納得できる説明を求めることが大切です。

貸主が費用を負担するケース

経年劣化や通常使用による軽微な傷、色あせは、貸主（オーナー）の負担になるのが原則です。たとえば、日光による色あせや、長年使用したことによる摩耗などが該当します。これらは次の入居者を迎えるための「原状回復」とみなされるため、貸主側で費用を負担することになります。

費用負担に関して不明点がある場合は、事前に賃貸契約書や管理会社に確認し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。

原状回復ガイドラインに基づく判断

賃貸物件の「原状回復」に関するガイドライン（国土交通省）は、費用負担の基準を明確に示しています。ガイドラインにおいては、通常使用・経年劣化による損耗は貸主が、借主の過失による損傷は借主が負担することが基本です。

たとえば、家具の設置跡や日焼けによる変色は貸主負担ですが、引っ越しや模様替えでついた大きな傷は借主負担となり得ます。判断に迷う場合は、ガイドラインを参照し、管理会社や専門家に相談することが安心です。

フローリング張替え時の注意点と費用を抑える方法

フローリングを張替える際は、傷の補修や業者選び、トラブル対応などいくつかの注意点を押さえ、無駄な出費を防ぐ工夫が大切です。

小さな傷の補修や予防策

浅い傷や小さなへこみであれば、専用の補修材やワックスで目立たなくすることができます。市販の補修キットは使いやすく、手軽にセルフメンテナンスが可能です。また、家具の脚にフェルトを貼る、キャスター付き家具は下にマットを敷くなどの工夫で、フローリングの傷予防となります。

水分や湿気に弱い性質があるため、こぼれた水はすぐに拭き取るよう心がけることも大切です。日頃から丁寧に使い、定期的に掃除やワックスがけをすることで、フローリングの美しさを長く保つことができます。

複数業者への見積もりと交渉ポイント

フローリングの張替えを業者に依頼する場合は、複数の業者から見積もりを取ることで適正価格が見えてきます。見積もりでは、材料費、施工費、廃材処分費などの内訳をしっかり確認しましょう。

また、見積もり内容に疑問がある場合は遠慮せず質問し、納得できるまで説明を求めることも重要です。見積もり金額だけでなく、アフターフォローや施工実績なども考慮し、信頼できる業者を選ぶことが費用を抑えるポイントです。

トラブル時の相談先と対応方法

フローリングの張替え費用や負担について入居者とオーナーで意見が合わない場合は、まず契約書や国のガイドラインを確認しましょう。それでも解決しない場合は、消費生活センターや全国の宅地建物取引業協会など、第三者機関に相談するのが有効です。

相談時には、現状や経緯、やり取りの記録（メールや写真など）を準備しておくとスムーズです。焦らず冷静に対応し、双方が納得できる形で解決を目指しましょう。

まとめ：賃貸フローリング張替えの費用と負担を正しく理解し納得の選択を

賃貸物件のフローリング張替えについては、費用相場や負担のルールを理解し、適切な判断を行うことが大切です。

張替えが必要なタイミングや費用の内訳をしっかり把握し、借主・貸主双方が納得できるよう事前にガイドラインや契約内容を確認しましょう。業者選びや日頃のメンテナンスにも注意を払うことで、トラブルを避けつつ美しい住環境を維持することが可能となります。