マンションの避雷針とは何か仕組みや役割を分かりやすく解説

マンションの屋上などに設置されている避雷針は、建物や住人の安全を守る重要な設備です。落雷の被害からどのように守られているのか、その仕組みや役割について解説します。
避雷針が設置されている理由と基本的な役割
避雷針は、雷が落ちた際に電気を安全に地面へ逃がすための設備です。特に背の高いマンションは落雷しやすいため、避雷針の設置が重要となります。もし避雷針がなければ、雷のエネルギーが建物やその中の電気設備、場合によっては人に直接被害を及ぼす可能性が高まります。
避雷針の基本的な役割は、雷のエネルギーを空中から受け止め、専用の配線を通じて地面まで流すことです。これにより、建物内部に雷の力が及ばないようにし、大規模な火災や設備の故障、人的被害などを防ぐことができます。
マンションにおける避雷針の仕組みと安全性への効果
避雷針はマンションの屋上や高い位置に設置され、その下には「引下げ導線」と呼ばれる太い金属線が地面に向かって伸びています。この導線は雷の電流を効率よく地中に流す役割を果たします。地面には「アース」と呼ばれる接地部分があり、安全に電流を逃がします。
この仕組みにより、マンション内の電気設備や配線、そして住んでいる人々への被害を最小限に抑えることが可能になります。また、避雷針が正しく設置されていることで、落雷による火災や停電などの二次災害のリスクも減らせます。マンション全体の安全性にとって、避雷針は欠かせない設備です。
避雷針と落雷リスクの関係
高層マンションは周囲より高い位置にあるため、雷が落ちやすい環境です。避雷針は、建物が直接雷を受けるリスクを減らす効果があります。しかし、避雷針があるからといって、すべての雷を完全に防げるわけではなく、適切な設置やメンテナンスが必要です。
また、近年では異常気象の影響で落雷の発生頻度が増える傾向にあり、避雷針の重要性がより高まっています。マンション居住者の安心・安全を考えるうえで、避雷針はリスク対策の一環として必要不可欠な設備です。
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マンションの避雷針に関する法律や設置義務について

マンションの避雷針設置には法律が関わっており、条件によっては設置が義務付けられています。どのような基準や義務があるのか確認しましょう。
建築基準法における避雷針の設置基準
日本では建築基準法により、高さが一定以上の建築物や特定の用途の建物には避雷針の設置が義務付けられています。具体的には、地上31メートル(おおよそ10階建て以上)の建築物には避雷針の設置が必要とされています。
この法律の目的は、落雷による火災や感電事故、設備の損傷を未然に防ぐことです。また、公共性の高い建物や多くの人が利用する施設も、設置義務の対象となる場合があります。マンションを建設・管理する際には、建築基準法をはじめとした関連法規をしっかり確認することが重要です。
義務があるマンションと設置不要なケースの違い
すべてのマンションに避雷針設置の義務があるわけではありません。以下のような違いがあります。
【設置が義務となるケース】
・高さが31メートル以上のマンション
・特定用途(病院、学校など)で多数の人が利用する建物
【設置が不要なケース】
・低層マンション(高さが31メートル未満)
・周囲に高い建物が多く、落雷リスクが相対的に低い場合
ただし、設置義務がなくても、防災や安心の観点から自主的に避雷針を設置するマンションも増えています。地域や環境によって必要性は異なるため、状況に応じて判断しましょう。
避雷針設置の法的な注意点
避雷針の設置や改修工事を行う際は、法律だけでなく、都道府県や市区町村ごとの条例や指導要綱にも注意が必要です。建築確認申請や、消防法に基づく届出などが求められる場合もあります。
また、工事は専門知識を持った業者が行う必要があり、工事後も定期的な検査や記録の保管が義務づけられています。これらの手続きや管理を怠ると、法令違反や万一の事故時に責任を問われることもあるため、注意が必要です。
避雷針の種類とマンションで選ばれるタイプの特徴

マンションに設置される避雷針にも複数の種類があり、それぞれ特徴やメリット、デメリットがあります。ここでは主なタイプを解説します。
フランクリン型やESE型など主要な避雷針の種類
代表的な避雷針には「フランクリン型」と「ESE型(早期放電型)」があります。
種類 | 特徴 | 設置場所例 |
---|---|---|
フランクリン型 | もっとも一般的。シンプルな構造 | 屋上の高い位置 |
ESE型 | 広い範囲をカバー。新しいタイプ | 高層マンション |
フランクリン型は古くから使われているシンプルな避雷針で、設計やメンテナンスが比較的容易です。一方、ESE型は広範囲をカバーできるため、敷地の広い場所や高層建物で選ばれることがあります。
それぞれの避雷針のメリットとデメリット
避雷針の種類ごとに、良い点と気を付けたい点があります。
【フランクリン型のメリット】
・構造が単純で故障が少ない
・設置コストが比較的安い
【フランクリン型のデメリット】
・カバーできる範囲が限定的
・高層建物の場合は複数設置が必要
【ESE型のメリット】
・広い範囲をカバーできる
・建物全体を1本で守れる場合も
【ESE型のデメリット】
・初期費用が高め
・定期的な点検や技術サポートが必要
それぞれの特徴を理解し、マンションの規模や形状に合ったタイプを選ぶことが大切です。
マンションにおすすめの避雷針の選び方
マンションの避雷針を選ぶ際は、建物の高さや広さ、周囲の環境を考慮する必要があります。高層で広いマンションの場合は、ESE型など広範囲をカバーできるタイプが適しています。一方、低層や中規模のマンションでは、シンプルなフランクリン型でも十分なケースが多いです。
また、設置やその後のメンテナンスを専門業者に依頼することも重要です。アフターフォローや点検体制が整っている業者を選ぶことで、長期的な安心につながります。コストだけでなく、安全性や維持管理のしやすさにも注目して選びましょう。
避雷針の点検やメンテナンスと万が一の対策

避雷針は設置して終わりではなく、定期的な点検やメンテナンスも重要です。万が一に備えた追加対策も含めて解説します。
定期点検やメンテナンスが必要な理由
避雷針は長期間外気にさらされているため、サビや劣化が進みやすい設備です。導線や接地部分の異常があると、雷のエネルギーが正しく地面へ流れず、建物や住民の安全性が損なわれるおそれがあります。
そのため、法律でも定期的な点検や記録の保存が求められています。専門業者による点検を年1回程度行い、異常があれば早めに修理や交換を実施しましょう。点検結果を記録しておくことも、万一のトラブル時に役立ちます。
避雷針の劣化とトラブル事例
避雷針の劣化やトラブルには、以下のような事例があります。
・避雷針の先端部が折れたり、腐食している
・引下げ導線がねじれたり、接続が外れている
・アース部分が土壌の変化や工事で断線している
こうしたトラブルを放置すると、雷の電流が正しく流れず、避雷針の役割を果たせなくなります。トラブルを未然に防ぐためにも、定期的なメンテナンスが欠かせません。
落雷による被害を防ぐための追加対策
避雷針だけではすべての被害を防げない場合もあります。そこで次のような追加対策が有効です。
・分電盤や重要な電気設備にサージプロテクター(雷サージ対策機器)を設置する
・屋内配線の絶縁を強化する
・共用部や住戸内の電子機器は雷注意報時にコンセントから外す
これらの対策を組み合わせることで、マンション全体の落雷リスクをさらに低減できます。建物の管理組合や管理会社と相談して、総合的な落雷対策を進めることが大切です。
まとめ:マンションの安全を守るための避雷針の基礎知識と実践ポイント
マンションの避雷針は、建物や居住者の安全を守るための大切な設備です。設置義務や法律を守ること、建物に合ったタイプを選ぶこと、そして定期的な点検と追加対策が重要なポイントとなります。
雷による被害は防げるものと防げないものがありますが、しっかりとした備えをしておくことで安心につながります。マンションに住む方や管理する方は、避雷針についての基礎知識と実践ポイントを押さえ、安全な住環境を維持しましょう。
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