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鉄筋コンクリートなのにうるさい?原因の見分け方と今すぐできる対策

目次

鉄筋コンクリートなのに音がうるさい時にまず確認すること

鉄筋コンクリート(RC)造は遮音性が高いイメージですが、実際には「うるさい」と感じることがあります。まずは感覚的な不快感の理由を特定するために、音の性質や発生時間、聞こえる範囲など基本情報を整理することが重要です。ここでの確認を踏まえ、管理会社への連絡や簡易対策の優先順位をつけましょう。

音の種類の分類

音の性質を把握することは対処法を決める第一歩です。生活音(足音、家具の移動)、振動を伴う衝撃音(ドアバタン、落下音)、低周波音(エアコン室外機やビルの機械音)、空気伝搬音(会話、TV音)などに大別できます。衝撃音や低周波は構造を通じて伝わりやすく、遮音対策が難しい場合が多い一方、空気伝搬音は窓やドアの気密性改善で効果が出やすいです。

まずはどのタイプが主かをメモしておきましょう。例えば「深夜に低く長いゴーッという音がする」なら低周波の可能性、「昼間に階上の足音がドタドタ聞こえる」なら衝撃音(床伝播)を疑います。分類で方向性が決まれば、その後の測定や対策が効率的になります。

発生時間帯の把握

音がいつ強く聞こえるかを記録することで原因特定が進みます。平日日中・夜間・週末などのパターンを1〜2週間ほどメモして、管理会社や近隣住戸との話し合い時に示せるデータを作りましょう。時間帯により原因が推定できます。例えば深夜早朝に連続する低周波は空調設備や大型機械、昼間の断続的な音は子どもや建築作業の可能性があります。

発生時間だけでなく継続時間や間隔(常時・断続・一時的)も重要です。短時間かつ大きな衝撃音が多ければ生活行動が起因しているかもしれません。記録はスマホのメモや簡易ボイスレコーダーで音声を残すと良い証拠になります。

聞こえる方向と範囲の特定

どの方向からどの範囲で音が聞こえているかを調べます。単一の隣戸からなのか、複数の方角からなのか、建物全体に共通して聞こえるかで原因が変わります。窓や壁、床、天井ごとに聞こえ方を確認し、窓を閉めた状態と開けた状態でも差があるかをチェックします。

外に出て建物周辺で聞くと、屋外起因の音か建物内部起因かを判別しやすくなります。また隣戸と階違い(上下)で聞こえる場合は床スラブや界壁の問題を疑い、同階の左右からであれば界壁・共用廊下が原因の可能性が高まります。聞こえる範囲の特定は、管理会社への説明や専門業者に依頼する際に有用な情報になります。

室内での簡易検査項目

まずは簡単にできる検査を実施しましょう。窓やドアの気密状態(隙間風の有無)、窓ガラスの種類(単板か複層か)、壁や天井にひび割れやパネルの浮きがないかを確認します。家具の配置で反響が増えていないか、床材が直貼りで硬いかどうかもチェック項目です。

気になる音が出る場所で布やタオルを当ててみて聞こえ方が変わるか、窓を開閉して差があるかなどを試し、変化をメモします。簡易レベルでも効果が見られる項目は多く、後述の対策の優先順位を決める材料になります。

管理会社への初期連絡窓口

音の問題は集合住宅の管理責任に関係することが多いため、一次的な相談窓口は管理会社(または管理組合)です。連絡時には「発生日時・継続時間・音の種類・聞こえる部屋・簡易検査結果」をまとめたメモを添えると迅速な対応につながります。

管理会社には設備点検、階上や隣戸への注意喚起、必要なら専門業者への調査手配を依頼できます。対応履歴は後の話し合いや法的措置の際に重要となるため、メールや書面でやり取りを残すことをおすすめします。

賃貸契約書の音関連条項

賃貸契約書には「騒音・迷惑行為に関する規定」や「使用細則」が明記されていることが一般的です。契約書を確認して、騒音に関する禁止事項や管理会社の対応義務、苦情処理の手順が記載されているかを確認しましょう。

契約上のルールが守られていない場合は契約違反として管理会社へ改善を求める根拠になります。逆に、特定の音が居住者本来の生活音の範囲内である場合は対応が限定されることもあるため、契約書の文言を読み解くことが重要です。

近隣住戸の対応状況

同じ音に他の住戸も悩んでいるかどうかを確認します。共通の苦情が複数から上がっていれば管理側も動きやすく、集合での改善要求が有効です。近隣住戸に声をかける際は冷静に、事実(時間・内容)を共有し、記録を取りながら協力を仰ぎましょう。

また、既に過去に同様の苦情があり改善履歴があるかを管理会社に確認すると、原因特定や改善の見込みがつかみやすくなります。

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鉄筋コンクリートでも音が伝わりやすくなる建築的な原因

鉄筋コンクリートでも音が伝わりやすくなる主な建築的要因を把握することは、根本的な対策や物件選びに役立ちます。以下の要因は設計・施工・改修の違いで発現します。

界壁の施工方法

界壁(隣戸との区画壁)は遮音性能に直結します。界壁が間仕切り壁のように軽量であったり、躯体から独立していない場合、音(特に衝撃音)が伝わりやすくなります。理想は躯体コンクリートの一体打ちや、遮音性能を考慮した二重構成ですが、施工時の設計意図やコストの関係で簡易な仕上げで終わることがあります。

界壁内に配管やダクトが貫通していると、隙間を通して音が漏れる経路が生まれます。施工不良で充填材が不十分な場合や、界壁が薄く仕上がっている場合も同様に遮音低下を招きます。

界壁の厚さと仕上げ材

界壁の厚さや使用する仕上げ材(石膏ボードの枚数、下地材、浮き床の有無など)によって遮音性能は大きく変わります。薄い下地や単層の石膏ボードは空気伝搬音に弱く、衝撃音も伝わりやすいです。逆に複合構成(ボード+吸音層+空気層)や厚手の仕上げは遮音性能を高めます。

築年次やコスト重視の物件では界壁の仕様が簡素なことがあり、新築でも注意が必要です。図面や仕様書で界壁の構成を確認できれば安心材料になります。

床スラブの厚み不足

床スラブ(コンクリート床)の厚みが不足すると、上下階への衝撃音や低周波振動が伝わりやすくなります。一般に厚いスラブは質量が大きく振動を抑えるため遮音に有利です。薄いスラブ+直貼りの床仕上げは振動を増幅しやすく、生活音が上階下階に響きやすくなります。

設計図でスラブ厚(例えば150mm、180mmなど)を確認し、目安と照らし合わせることが重要です。改修で改善する場合は費用や工期が大きくなる点に注意します。

床材の直貼り施工

床材をスラブに直接貼る直貼り(直張り)施工はコストや高さを抑える利点がありますが、遮音性能では不利です。遮音層(防振材やゴム系の中間層)を挟む二重床構造に比べて、床衝撃音がスラブに直接伝わりやすくなります。

後からの改善策としては、二重床化(上張り)や防振マットの敷設などがありますが、躯体改修に比べれば比較的導入しやすい改修です。

窓のガラス構成

窓は空気伝播音の主要経路です。単板ガラスや薄いガラスは外部音や隣戸の音を通しやすく、防音サッシや複層ガラス(二重窓)がないと開口部から音が侵入します。サッシの気密性や枠の取り付け精度も重要で、隙間があるとそこから音が抜けます。

高性能な防音サッシや合わせガラス、複層ガラスは効果的ですが、費用と重量が増すため物件によって採用状況が異なります。

配管貫通部の気密欠損

給排水や換気ダクト、電気配線などが界壁や床を貫通する箇所は、気密・防音処理が不十分だと音の通り道になります。貫通部の防音処理(防音パテやパッキンの充填)がされていないと空気伝播音や低周波が漏れる原因となります。

施工品質が低い物件やDIYで後から手が加えられた箇所は要注意です。点検で貫通部の処理状態を確認しましょう。

ドアや枠の密閉性不足

室内ドアや玄関ドアの周囲に隙間があると音が室内に入りやすくなります。特に換気口やドア下の隙間は空気の流れと共に音を伝えます。防音には枠とドアの密着性、底部のシーリングやドアスイープ(隙間テープ)の有無が重要です。

集合住宅では共用廊下側のドアの遮音性も重要で、簡易な軽量ドアでは音が漏れやすくなります。

建物形状と開口部の配置

建物の形状や部屋・開口部の配置も音の伝わり方に影響します。例えば縦に空間がつながる吹抜けや、共用スペースが隣接する間取りは音が回り込みやすくなります。開口部(窓・バルコニー)が密集している側に音源があると複数戸で影響を受けやすいです。

設計段階での配置や隣戸との接し方を確認することは、新しい物件選びで重要な判断材料になります。

今からできる簡単な防音対策と費用の目安

すぐに取り組める実用的な対策を優先順位をつけて紹介します。費用目安は一般的なレンジで、地域や製品によって変わります。

厚手カーテンや防音カーテン

厚手のカーテンは窓から入る空気伝搬音の軽減に効果的です。特に複層ガラスが無い窓では簡易対策として有効で、素材や裏地の有無で遮音効果が変わります。市販の防音カーテンは1枚あたり数千円〜数万円程度。両開きでサイズにより1〜3万円が目安です。取り付けも簡単で即効性があります。

防音マットや厚手ラグの敷設

床衝撃音や室内の反響を抑えるには、防音マットや厚手ラグを敷くのが手軽です。1畳あたり数千円〜1万円程度の製品が多く、敷き込みで衝撃音がかなり和らぐ場合があります。特に子どもの遊び場やテレビ周りなど、音源が限定される場所に有効です。

吸音パネルの取り付け

壁や天井に吸音パネル(フォームや布張り)を取り付けると室内の反響や高音域の耳障りさが軽減します。見た目もインテリアに溶け込む製品が多く、数枚セットで1万円〜数万円が相場。取り付けは両面テープや専用金具で比較的簡単です。

家具配置による遮音

本棚やソファを界壁側に配置することで、音の直進を遮ったり壁自体の吸音を助けたりできます。大型家具は費用がかからず効果があり、特に本棚に本をぎっしり詰めるとかなり遮音効果が得られます。レイアウト変更だけなので実質無料で実行可能です。

窓まわりの気密改善

窓の隙間にシーリングテープや隙間テープを貼る、内窓(二重窓)を設置することで効果が上がります。簡易シーリングは数百円〜数千円、内窓の導入は数万円〜数十万円(サイズや仕様で変動)です。空気伝搬音対策に直結するため投資価値は高いです。

ドアのすき間シーリング

ドア下の隙間や枠の隙間にすき間テープを貼ったり、ドアスイープを取り付けるだけでも音漏れは減ります。材料費は数百円〜数千円、DIYで簡単にできます。玄関ドアや室内ドア両方に適用すると効果的です。

ホワイトノイズ装置の活用

ホワイトノイズや自然音を出す機器を使うことで雑音の目立ちを抑え、睡眠や集中を助ける場合があります。小型の機器で数千円〜1万円程度。根本対策ではありませんが、生活の快適さを短期的に改善する手段として有効です。

専門業者による音測定

正確な原因特定には専門の騒音測定が有効です。音圧レベル(dB)や周波数解析を行い、音源特定や対策設計が可能になります。簡易調査で数万円、詳細な測定・報告書作成や原因調査は数十万円になることがあります。管理会社と費用負担を相談すると良いでしょう。

簡易防音工事の費用目安

DIYでできる対策は数百円〜数万円、プロに依頼する簡易工事(ドアシーリング、窓の気密改善、吸音パネル設置など)は数万円〜十数万円。本格的な改修(二重床化、内窓設置、界壁の補強)は数十万〜百万円単位になることがあります。まずは簡易対策で効果を確認し、必要に応じて段階的に投資するのが現実的です。

次に住むなら確認したい物件選びの視点

物件購入や次の賃貸を選ぶ際、音に悩まないためのチェックポイントを事前に押さえておくと安心です。図面や現地確認で見極めましょう。

スラブ厚の確認基準

上下階への遮音性を重視するならスラブ厚は重要です。概ね150mm前後だと軽め、180mm以上で遮音性が期待できると言われます(設計や材料により変動)。図面や管理会社にスラブ厚を確認し、可能であれば同じ建物の他戸で実際の聞こえ方も確認しましょう。

界壁の一体打設

界壁が躯体と一体打設されているか、または二重構成になっているかをチェックします。一体打設や遮音設計が施されている界壁は、隣戸からの音漏れを抑える効果が高いです。物件資料や仕様書で界壁の構成を確認しましょう。

二重床と二重天井の有無

二重床・二重天井は衝撃音・振動を低減するため非常に有効です。新築や高級志向の物件では採用されることが多いので、仕様を確認し、モデルルームや現地で床の感触を確かめると良いでしょう。リフォーム履歴でも導入されている場合があります。

防音サッシや複層ガラスの有無

窓の性能は外部音や空気伝搬音に直結します。防音サッシや複層ガラスが標準で採用されているか、またはオプションで対応可能かを確認してください。実際に窓を閉めて外の音や隣戸の音を聞いてみる現地確認も重要です。

間取りと隣戸との接し方

寝室やリビングの位置が隣戸の生活空間とどのように接しているかを確認します。隣戸の共用廊下側にリビングが面している、あるいは上下で寝室が重なる配置は音トラブルのリスクが高まります。内覧時に部屋同士の接触面をチェックしましょう。

築年数と改修履歴の確認

築年数が古い物件は当時の遮音基準が現在より緩い場合がありますが、一方で最近の改修で遮音対策が施されていることもあります。改修履歴(窓の交換、界壁補強、床改修など)の有無を確認し、管理組合の工事履歴も確認するとよいです。

周辺の交通と生活音の状況

建物の立地条件(主要道路、鉄道、商業施設、飲食店など)が周辺騒音に影響します。現地での音チェックは昼夜・平日週末で行い、遮音サッシを閉めた時の状況も確認しましょう。周辺環境が静かでも建物内の伝播で音問題が起きることがあります。

管理体制と苦情対応の履歴

管理会社や管理組合の対応力は重要です。過去の苦情対応履歴や改善実績があるか、管理規約に騒音関連の対応フローが明確かを確認しましょう。入居者の快適性を重視する管理体制であれば、音トラブル発生時の解決がスムーズになります。

鉄筋コンクリートで音に悩まないためのチェックポイント

最後に、日常的に確認・実践できる要点をまとめます。現状把握(音の種類・時間・範囲)→簡易対策(窓・ドアの気密改善、カーテン・ラグ・家具配置)→管理会社への記録付き相談→必要なら専門測定・工事という流れが基本です。次の物件を選ぶ際はスラブ厚・界壁仕様・二重床・窓の性能・間取り・管理体制を必ず確認し、内覧時に実際に音の聞こえ方をチェックしましょう。これらを踏まえれば、RC造でも音に悩まされにくい住まい選びと対策が可能になります。

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この記事を書いた人

ホテルに「泊まる」のではなく「暮らす」という選択肢。分譲ホテルでの暮らし方や、快適に過ごすための工夫、2拠点生活のリアルな体験まで紹介しています。民泊やマンションとの違い、設備選びやインテリアの楽しみ方など、ホテル暮らしをもっと身近に、もっと自由に楽しむための情報を発信しています。

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